特別養護老人ホームの方達が毎日どれほどの不安な気持ちで過ごしているのかをみんな分かっているのでしょうか。
それは自分の家で暮らしたいと思うじゃないですか。
それが人の基本の気持ちなのです。
もう家がない人もいますがそれでも痴呆症になっても帰りたがっているのです。
それを見ていたら人間は家族が一番だと言う事が分かります。
ですから時々エスケイプする人もいます。
彼は別に悪気がある訳ではなくただ帰りたいだけなのです。
最初言っていいのかどうか分かりませんでしたが生活指導員がもう家はないのですからというのを聞いて私も説得しました。
彼がいなくなるので何回探しに行ったか分かりません。
それでも行く方向は決まっているので探せないという事はなかったです。
彼は彼なりに来てももらえない家族を求めているのです。
それは見ていたら痛い程分かりました。
それが生きるという事です。
それが人間というものです。
彼は元々飛行機の整備士をやっていた人で頭が良かったのですがそうなってしまったのでした。
さまよい歩く姿を見ていたら人間の根源を見てしまった思いになりました。
その記憶が今でも頭から離れないのです。
それを見てきた私は生き方を考えてしまいます。
あなたの運命がもし特別養護老人ホームで燃え尽きるとしたらそれは嬉しいでしょうか。
私はそれはとても嫌です。
拘束されて生きているからです。
何時に食事。
風呂は週に二回と決まっています。
まさにこうしなき牢獄という感じだと私は思いました。
それでも受け入れていかないとどこにも行く所がない人が大勢いるのです。
それが彼らの生活なのでどんなに不満があっても我慢するしかないのです。
それはもちろんテレビチャンネル争いもあります。
杖と煙草の円柱の入れ物を抱えての喧嘩もありました。
私はそれで家に帰っていたのに呼ばれて飛んで行ったのです。
電話だけでは状況が分からなかったのですが行ったら一目瞭然でした。
二人とももの凄い剣幕で立ちはだかっていたのです。
言ってはいけないと思いながら私はまあまあ、子供の喧嘩じゃないんだからと言いながら仲裁に入ったのです。
それは職員がいなくなって夜勤だけでいる時だったのです。
女性だけではそれは仲裁する事は難しいと思いました。
それしか楽しみがないので仕方がないと言えなくもありませんが、みんなで仲良く見るはずの物を独りじめしてはいけません。
そう言う事が起きる場所でもあります。
収まったのでよかったです。